
付録 現行諸基準について
1. 上下加速度
いずれの基準においても、船底外板等の局部強度および縦強度の基礎となる基本パラメタとして船体上下加速度を用いているが、軽構造暫定基準およびRR−llにおいては船首端における加速度を用いているのに対し、NVおよびLRでは、船体の重心位置における値を基本量として船長方向の分布を規定している。
加速度の定義は、基準により次のように異なる。
(1)軽構造船暫定基準及びRR11
過去の実船試験の加速度計測値における極大値と極小値の差として整理されているものが多いといわれる。極小値側の加速度は一般に極大値側に比してその絶対値が小さいため、結果として得られる加速度が極大値すなわち加速度0からの片振幅値の倍になるわけではないが、片振幅値よりは大きい値となっているはずである。これは、船底外板が荷重を受ける結果として上下加速度が変化するとして、その変化の度合いが荷重に対応しているという考え方にもとづく。
加速度の値としては明記されていないが、RR−11との対比で類推すると、船首における衝撃加速度は、下表に示す値を想定していると考えられる。

上記から分かるように、RR11は、沿海と限定沿海で軽構造船暫定基準よりそれぞれ1g小さい値となっている。
なお、上記のほか、十分に訓練された乗員がその体力の限界まで使用する船舶の船首衝撃加速度として、6gという値が示されている。
(2)NVルールにおける加速度
設計加速度は、船体重心位置における1/100最大平均値を採用している。設定根拠は、明確に示されていない。また、加速度計の設置を要求している。
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